「挨拶時の会話」定番パターンで覚えるフランス語
こんにちは、クリポンです。
円滑な人間関係は、気持ちの良い挨拶から始まるもの。日本でもフランスでもそれは変わりません。
挨拶の会話はだいたいパターンが決まっているので、その流れを把握しておくのがコツです。たとえフランス語の聞き取りが苦手であっても大丈夫。あらかじめ流れが分かっていれば、相手の言うことが理解しやすくなり、スムーズな会話を楽しめるでしょう。
シチュエーション別に、挨拶の会話パターンについてみていきます。
会話の基本は挨拶から! よく使うパターンを覚えよう
フランス語における敬語表現
フランス語と英語の違いの一つに敬語があります。英語では、人間関係の深さにかかわりなく、話し相手に対し「you」を使いますよね。
フランス語では相手との関係により、2段階で主語を使い分けます。一つは敬いの気持ちを込めて呼ぶ「vous(ヴ)」。もう一つは、家族や友人に使う「tu(テュ)」です。
敬語と言っても、日本語ほどの複雑さはありません。しかしvousとtuのどちらを主語にするかで動詞の活用が変わり、初めは戸惑うことが多いです。
挨拶の会話も相手との関係、つまりvousとtuのどちらを主語に選ぶかで、言葉遣いが変わります。
調子をたずねる動詞 「aller」
挨拶の会話では、しばしば動詞「aller(アレ)」を使います。本来は「行く」という意味を持ちますが、ここでは「調子よく行く」の意で使われます。
挨拶会話では必須の動詞なので、ぜひ覚えておきましょう。
動詞allerの活用
Je vais ジュ ヴェ(私は行く) |
Nous allons ヌ ザロン(私たちは行く) |
-Tu vas テュ ヴァ(君は行く) -Vous allez ヴ ザレ(あなたは行く) |
Vous allez ヴ ザレ(あなたたちは行く) |
Il va イル ヴァ(彼は行く) |
Ils vont イル ヴォン(彼らは行く) |
Elle va エル ヴァ(彼女は行く) |
Elles vont エル ヴォン(彼女たちは行く) |
その1) 目上の人やあまり面識がない人との挨拶
相手をvousで呼ぶのは、多少なりとも敬意を払う相手や、あまり面識のない人に対してです。
お決まりのパターン! vousを使う挨拶会話の流れ
定番の挨拶は、だいたいこのような流れになります。
Aさん : こんにちは〇〇さん、ご機嫌いかがですか。 Bさん : とても良いですよ。ありがとう。あなたはどうですか? Aさん :とても良いです。ありがとう。 |
これをフランス語にしてみましょう。よく使われる2つの例を挙げてみます。
パターン1
Aさん : Bonjour Monsieur Dubois. Comment allez-vous?・・・(1) ボンジュール ムッシュー デュボワ, コマン タレ ヴ? Bさん : Très bien, merci. Et vous?・・・(2) トレ ビヤン, メルシー. エ ヴ? Aさん : Très bien, merci.・・・(3) トレ ビヤン, メルシー. |
パターン2
Aさん : Bonjour Monsieur Dubois. Vous allez bien?・・・(1) ボンジュール ムッシュー デュボワ, ヴ ザレ ビヤン? Bさん : Je vais bien, merci. Et vous?・・・(2) ジュ ヴェ ビヤン, メルシー. エ ヴ? Aさん : Oui, je vais bien, merci.・・・(3) ジュ ヴェ ビヤン, メルシー. |
単語
comment : どのように、très : とても、bien : よい、merci : ありがとう、et : ところで、oui : はい
(1) のフレーズ
Bonjourの後は名称を入れずに、bonjour, comment allez-vous? と言うこともできます。でも名称を入れると丁寧な印象を与えます。
名称の言い方は「bonjour Monsieur Dubois,」 または「bonjour Madame Dubois,」などとします。姓を知らない場合などは単に「bonjour Monsieur,」あるいは「bonjour Madame,」と呼びかけることもできます。
「ご機嫌いかがですか」はcomment allez-vous?のほか、vous aller bien?もよく使います。
(2) のフレーズ
返事にはtrès bienのほか、je vais bienもよく使います。vaisは動詞allerの1人称単数活用です。
必ず「et vous? あなたは?」と聞き返し、相手の体調も気遣いましょう。こうして会話がつながっていきます。
(3) のフレーズ
パターン2では、間投詞的にouiを入れてみましたが、入れなくてもいいです。ここではouiは「はい」「ええ」「そうですね」などの意味で、仏語会話では会話のリズムを整えるような感じで、よくouiを挟みます。
ここでも返事はtrès bien、またはje vais bienのどちらでもいいです。
パターン1の(2)の文でBさんがtrès bienと言ったからといって、(3)でAさんも同じくtrès bienを使って揃える必要はありません。je vais bienを使っても問題ありません。
パターン2も同様で、(2)の文でBさんがはe vais bienと言っていますが、(3)でAさんはtrès bienを使っても構いません。
その2) 親しい友人との挨拶
親しい間柄ではtuを使います。ここでも動詞allerが使われており、tuを主語とする場合の活用形はvasです。
tuを使う挨拶会話の流れ
会話の流れはこのような感じになります。
Cさん : やあ、元気? Dさん : 元気だよ、ありがとう。君は? Cさん : 元気だよ、ありがとう。 |
この会話をもとに、よく使われるパターン3つを挙げます。
パターン1
Cさん : Salut! Ca va?・・・(1) サリュ! サ ヴァ? Dさん : Ca va. Et toi?・・・(2) サ ヴァ. エ トワ? Cさん : Ca va.・・・(3) サ ヴァ. |
パターン2
Cさん : Salut! Tu vas bien?・・・(1) サリュ! テュ ヴァ ビヤン? Dさん : Oui, je vais bien. Et toi?・・・(2) ジュ ヴェ ビヤン. エ トワ? Cさん : Je vais bien aussi.・・・(3) ジュ ヴェ ビヤン オッシ. |
パターン3
Cさん : Salut! Comment vas-tu?・・・(1) サリュ! コマン ヴァ テュ? Dさん : Comme si comme ça. Et toi?・・・(2) コム シ コム サ. エ トワ? Cさん : Ca va.・・・(3) サ ヴァ. |
単語
salut : やあ、ça va : 元気、順調だ、oui : はい、bien : よい、et : ところで、aussi : 同様に
(1) のフレーズ
親しい間柄では、salutを使うことが多いです。友達にbonjour!と言っても良いですが、少し改まったニュアンスになります。
毎日会うような友達は、パターン1が多いです。挨拶はそこそこに、別の会話に移るという感じですね。
時にはパターン2や3のように、tu vas bien?(調子はうまくいってる?)とかcomment vas-tu?(調子はどんな感じなの?)と聞くこともあります。単にça va?と言うより、少しだけ丁寧な印象があります。
(2) のフレーズ
パターン1,2,3で、それぞれ(2)の「元気だよ」の言い方を変えてみました。しかしこれが絶対というわけではありません。どのパターンにおいても、ça vaまたはje vais bienと好きな言い方で答えて構いません。
パターン2では「oui」を頭につけてみました。実際Tu vas bien?は質問文なので、ouiと答えてからça vaとかje vais bienと続けることがよくあります。
パターン3のcomme si comme çaは「まあまあ」の意味。友達との間柄なので、こんな風に答えることもあります。
(3) のフレーズ
全てのパターンで、ça vaまたはje vais bienのどちらとも使えます。Très bienと答えてもいいです。そしてパターン2のように、文末にaussi(同様に)を加えることがよくあります。
覚えやすいものを選んで覚えよう
いくつかパターンを挙げてみましたが、まずは簡単そうなものを選んで覚えると良いと思います。出張、旅行中などで使うべき場面に出くわすこともあるでしょう。
ただし注意しておきたいのは、お店の主人やホテルの従業員、駅員など、全く面識がない人には「ご機嫌いかがですか」とたずねないことです。その場合は「bonjour」と一言挨拶するだけにとどめましょう。とはいえ、八百屋やパン屋など、何回も通って馴染みの客となれば「vous allez bien?」などと挨拶することもありますけれどね。